「FRESCOBALL JAPAN TOUR 2023」を経て選出された日本代表選手たちが、2023年12月9-10日にブラジル・リオデジャネイロ州コパカバーナ・ビーチで開催された「フレスコボールブラジル選手権2023(OFI Frescobol Circuit)」に出場しました。
日の丸を彷彿とさせる赤いユニフォームを身にまとい、フレスコボール発祥の地リオデジャイロ・コパカバーナビーチで日本選手団が躍動した二日間。これから日本代表を目指す方にも有意義な内容となるよう、本ブログでは日本とは異なるブラジルのローカルルール等も踏まえ日本選手団の結果報告をしていきたいと思います。
■ブラジル選手権ルールに関して
✓1試合=5分間(落球ごとに時間停止)
✓各選手の50㎞/h以上のアタック数「最大150球」がそれぞれ得点化(速いほど高得点)
✓6落球目から、総得点の3%分が減点 (5球目までは減点無し)
✓アタックバランスも重要 (ペア間で得点の差が30%以上開くと減点)
ブラジル選手権と日本のルールの一番の違いは、「スピードガン」を使用した採点方法であることが挙げられます。
スピードガンを用いたルールの場合、50㎞/h以上のボールをいかに「150球」打てるかが鍵に。なぜなら、日本の公式戦でも5分間におけるアタック数はトップ選手でも「140打前後」だからです。お互いが「150球」以上打つために、「アタックスピード」を上げたり、「フォア&フォア」に挑戦したりするなど、ペアによってさまざまな戦略が選択されます。
また「同じアタック数」だとしても、アタックスピードによってはペア間の得点が離れてしまうため、得点バランスを調整する必要も。「①得点を伸ばすためのハイスピードなアタック」「②それを返すディフェンスの強さや正確性」「③得点を意識したクレバーな試合運び」のすべてが求められるのが、ブラジルのルールです。
それでは、試行錯誤をしながら調整を重ねていった日本選手団の戦績レポートを紹介していきます。
■男子カテゴリ
<男子カテゴリ7位>五十嵐恭雄&赤塚康太ペア
日本にいるときも常にブラジル選手権を意識しながら練習や大会を行っていた赤塚・五十嵐ペア。本大会では、「22,305点」という男子カテゴリ日本人最高得点を出しましたが、一歩及ばず惜しくも予選敗退となりました。ディフェンスでも50㎞/h以上出しながらアタックも確実に決めていき、後半の集中力ハマった時の勢いはブラジル人選手にも負けていませんでした。来シーズンもペア継続予定と聞くお二人は、更なる成長を遂げブラジルに帰ってくることを誓います。
<男子カテゴリ8位>松井芳寛&岸田直也ペア
お互いに安定感があり、50㎞/hを超えるディフェンス、力強いアタックを披露し、低い軌道の高速ラリーで「21,552点」を記録しました。軽快なフットワークで落球を防ぐファインキャッチが何回もあり、高得点をキープしますが、惜しくも予選敗退となりました。岸田選手は、MAXスピード85㎞/hとブラジル人選手にも引けを取らないアタックを放ち、それを返す松井選手のディフェンス力は流石の一言。関西を引っ張るお二人のラリーが多くの人を魅了しました。
■女子カテゴリ
<女子カテゴリ2位>大久保美音&落合真彩ペア
合計得点「25,368点」を叩き出し、初代表である大久保選手とブラジル大会入賞経験もある落合選手が準優勝!
1日目はアタック&ディフェンスとフォア&フォアの二つのスタイルを上手く使い分け、テンポのよいラリーで落球を抑えて5分間をフィニッシュ。初日終了時点では4位に。2日目は、5分間通してアタック&ディフェンスのストロングスタイルを選択した二人。初日よりも速いディフェンスによるダブルアタックもカウントされ、力強さを増したキレのあるアタックで得点を積み重ねます。落球は初日よりも1球多いながらも得点を上げ、「13,225点」を記録し、見事準優勝となりました。
<女子カテゴリ4位>鈴木麻井子&青木沙耶香ペア
低い弾道でスピードのあるアタックの応酬でアタックポイントを積み重ねた二人。1日目終了時点では、1位と1,000点差の「13,173点」という高得点ラリーを記録。
2日目も、ラリー中に2人のリズムを合わせる試合巧者ぶりを見せながら、力強いアタックを披露。両選手とも、ブラジル人選手にも引けを取らないアタックの強さで、2日間自身のスタイルを貫きました。3位のペアには惜しくも1,000点程届かず、4位という結果になりましたが、お二人の力を充分に示した大会となりました。
<女子カテゴリ5位>宮山有紀&風味千賀子ペア
今シーズンでペア5年目、ブラジル選手権3度目の挑戦となった宮山&風味ペア。「日本代表の女子カテゴリ初優勝」を目指した攻めたラリーを開始早々から繰り広げ、終始見ごたえのあるラリーを披露しました。
ラリーがハマった時のテンポ良さと力強さはさすがの一言。ダブルアタックも入るなど、特に後半のラリーは圧巻でした。しかしながら、決勝の座を争うレースは熾烈で、惜しくも5位という結果に。来シーズンもペア継続予定と聞くかざみやペアの挑戦はまだ続きます。
■ミックスカテゴリ
<ミックスカテゴリ2位>五十嵐恭雄&宮山有紀ペア
合計得点「46,889点」というハイスコアで、見事準優勝!シーズンを通じて、常に強気なラリーで攻める姿勢を貫き、MVPにも輝いたペアがブラジルでも躍動しました。
初日から、思わず息を吞んでしまう圧巻のラリーを連発。2日目には、日本人最高得点となる「23,779点」を叩き出しました。2日間とも共通して、減点にならないように「落球数5」に抑えながら、70㎞/h越えのアタック、50㎞/h越えのディフェンスによるダブルアタックで得点を積み重ねていきました。素晴らしい集中力の五十嵐&宮山ペア。ブラジルで、シーズンの集大成を見せつけました。
<ミックスカテゴリ4位>青木沙耶香&赤塚康太ペア
力と力のぶつかり合い、落球を恐れないストロングスタイルのラリーを貫いた二人。
初日は高速ディフェンス&高速アタックでリズムを作りながら、最後の逸れ球もくらいつきながら、気持ちのこもったラリーを披露。2日目も、終始ビックラリーを連発。冷静さも兼ね備えた力強いアタックの応酬で、見ている人々を魅了しました。2日間とも大台の「20,000点」を超え、合計得点は、「40,195点」の高得点。しかしながら、惜しくも表彰台には届かず、4位という結果に。入賞ならずも、日本のストロングスタイルの底力を示しました。
<ミックスカテゴリ9位>大川拓真&落合真彩ペア
ハイクオリティでリズムに乗ったアタック&ディフェンスが持ち味の二人。そのテンポの心地よさが、見ている人を惹きつけた5分間でした。序盤から2分以上のビッグラリーを続け、日本においても十八番だった「安定感」はブラジルでも健在。二人の持ち味をいかしながら得点を積み重ね、大台となる「20,000点」も目前となる「18,729点」を記録しました。2日目の決勝進出ラインに僅差で約200点届かずも、二人のポテンシャルは会場にいた全選手が認めるほどの素晴らしいラリーを披露してくれました。
■総評(JFBA代表理事 窪島剣璽)
ブラジル選手権2023に出場された日本代表選手の皆様、大変お疲れ様でした。
そして、入賞された五十嵐宮山ペア、落合大久保ペア、おめでとうございます。
3年ぶりの聖地コパカバーナ開催となった大会でしたが、 私も同行させて頂き、本当に楽しく、そして興奮をして全試合を応援させて頂きました。
各ペアの熱いラリーはもちろんでしたが、今大会はそうした技術だけではなく、 メンタル面の成長を非常に感じた大会でした。
ラリー前半が調子悪くてもしっかり立て直してくる場面や、後半落球が許されない局面で、 今年一番のアタックと、それをしっかりとしたディフェンスで周囲を巻き込んでいく場面を、 何度も見ることが出来ました。
これも普段からの練習と1年間組んできたペアだからこそ出せる成果なんだと改めて感じました。
入賞できなかった男子カテゴリは、まだ力の差がありますが、今大会での経験をもとに、 次のレベルに日本を連れて行ってくれると信じています!!
本当に皆さんお疲れ様でした。そして最後まで素晴らしいプレイありがとうございました。
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