日本フレスコボール協会(JFBA) オフィシャルブログ

一般社団法人日本フレスコボール協会のオフィシャルブログです。フレスコボールは、地球の裏側ブラジルはリオデジャネイロ発祥の新感覚のビーチスポーツで日本では2013年に協会が設立されました。当ブログでは、日本のフレスコボールの情報はもちろん、世界各国のフレスコボール協会や団体、大会の情報も発信します!思いやりのスポーツ、フレスコボールにご注目ください。

「FRESCOBALL JAPAN TOUR 2022」を経て選出された日本代表選手たちが、2023年3月18-19日にブラジル・リオデジャネイロ州イグアバグランデで開催されたブラジル選手権〈CIRCUIT LAGOS|IGUABA GRANDE〉に出場してきました。

どのペアも12月に閉幕した2022シーズン終了時よりも確実にレベルアップした姿が印象的で、地球の裏側・ブラジルの地で躍動。本レポートでは、試合に挑んだ各ペアの戦績&様子を、選手としても出場した山下祥JFBAディレクターが記していきます。

 

会場は、ブラジル・リオデジャネイロ州のイグアバグランデ。いわゆる皆さんが想像するであろう「リオ」であるコパカバーナからはクルマで2〜3時間。

郊外ということもあり、穏やかで治安も良い場所でした。形容するなら「ブラジルの三浦海岸だ」、JFBA窪島会長とはそんな話も。

各ペアの戦績レポートに移る前に、ブラジルのルールを簡単におさらい。

【ブラジル選手権|ルールのポイント】
✓1試合=5分間(落球ごとに時間停止)
✓50㌔以上のアタック数「最大150球」が得点化(速いほど高得点)
✓ディフェンスで50㌔を狙う/フォア&フォアで50㌔を狙う等、ペアごとに戦略が問われる
✓6落球目から、総得点の3%分が減点
✓アタックバランスも重要

日本と違って、アタックスピードがそのまま得点につながるルール。「2万点」が、どのカテゴリも一つの基準となります。

*その基準を目指すあまり、「2万」のポルトガル語=『vinte mil(ビンチミュウ)』は、もはや現地フレスコボーラー&日本選手団の流行語になっていました。

 

それでは、二日目のライブ映像とともに戦績レポートをご紹介していきます。

■〈男子カテゴリ4位〉岸田直也&山下祥ペア

男子カテゴリでは唯一の出場。岸田選手のロストバゲージなど不運が重なるも、事前の練習期間では、2万点超を数度記録するなど、入賞ラインも見えるほどに調子も尻上がりに。山下選手は、現地で主流となっているビオララケットに替えたことで、球速もアップ。しかし、初日の予選では落球が少なくまとまるも、球速得点が伸びず、17,284点に留まる結果に。このとき、予選5位。入賞には、2日目に2万点超を叩き出すのは最低条件。そこで、より球速得点を獲得するための策として、初日からペアの位置を変更し、最善を尽くします。結果は、落球6、球速得点も大幅に伸ばし、20,611点。二日間合計37,895点で、後のペアたちの結果を待つも、ライバルたちもそう簡単に座を譲りません。惜しくも4位という結果に留まりました。優勝ペアは、リラ&ロサ選手の55,257点。超えるべき壁はまだまだ高く、さらなる成長を誓った岸田&山下ペアでした。帰国後は、別々のペアで歩むこの二人。この舞台で得た悔しさを、次なる挑戦へつなげます。

 

■〈女子カテゴリ準優勝〉青木沙耶香&落合真彩ペア

国内女子年間ランキング2位の青木&落合ペア。国際大会の経験豊富な落合選手と、ブラジル初挑戦ながら実力十分の青木選手は、コパカバーナにおける練習期間から地に足をつけた練習で、着実に調子を上げていきます。試合プランは、序盤に「フォア&フォア」、中盤から「フォア&ディフェンス」で攻めるというスタイル。ここブラジルでも、青木選手のストロングアタックと、落合選手の球際の強さとしなやかさは健在でした。両選手とも安定して60km/h超のアタックを繰り広げ、初日は、14,704点で、2位の好位置に。二日目は、優勝も視野に入れた5分に。落球リスクを取りながらも、果敢に打ち込み、得点は12,598点と初日を下回るも、それは二人が勝負を仕掛けた証。青木&落合ペアも今大会がラストゲームとなり、最後の1分は「今までありがとう」という声が聞こえてくるかのような気持ちのこもったラリーの応酬が続きました。総合得点27,302点を叩き出し、堂々の二位。今まで日本女子カテゴリを牽引してくださった二人。たくさんの感動をありがとうございました。

また上位選手同士によるプレーオフマッチ(上位2組4名が総当りの組み合わせで試合を行い、個人得点TOPを決定)では、落合選手が見事優勝し「クイーンオブフレスコボール」に。「誰と組んでも結果を残せる」という彼女の強さが、ここブラジルでも証明されたこととなります。本当におめでとうございます。

 

■〈女子カテゴリ3位〉山口桃子&大和地未沙子ペア

二人ともが初の海外大会挑戦という山口&大和地ペア。本番に向けた調整方法からルールへの順応まで、すべてが「初めてのこと」として立ちはだかります。しかし、決して自分たちのペースを乱すことなく、本番まで調子は尻上がりに。むしろ「成長していった」という言葉が相応しいほどの二人でした。彼女らが選んだ試合スタイルは終始「フォア&フォア」。ラケットコントロールが求められるだけでなく、腕への負荷も高くなりますが、この挑戦を最後まで貫きます。初日は3位となる9,096点で、熾烈な入賞争いで追われる立場に。二日目は、試合の雰囲気にも順応し、ビッグラリーを連発。いつになくラケットも振れている印象で、フォア&フォアで60km/h超のアタックを叩き出す場面も。初日から大きく結果を伸ばし、14,106点を叩き出し、総合得点で女子3位という好成績を残しました。「フォア&フォア」という新しい選択肢で結果を示した二人は、2023シーズンもペア継続。日本No.1の座を目指し、新たな挑戦が楽しみです。

 

■〈女子カテゴリ4位〉風味千賀子&宮山有紀ペア

2019年のブラジル選手権挑戦から、今日まで4年の歳月。当時を「気づくと試合が終わっていた」と悔やむ二人が、この舞台に戻ってきました。序盤の戦略として取り入れたのは「フォア&フォア」。しかし、懸ける想いの強さがどこか重圧に変わり、初日は8,277点と練習時のような結果を残せず。当初聞いていたルールからも、誰もが予選敗退だと思っていた初日夜のこと。本部から届いたのは、二人の名が記された二日目のタイムテーブル。選手団全員が一つになり、「かざみや」の背中を押す機運が一気に高まります。夜が明け、本人たちも「失うものはない」という晴れやかな表情で挑んだブラジル最後の5分。序盤から本来の「フォア&ディフェンス」に戻し、初日とは見違える姿に、ブラジル人の観客たちも拍手が止まりませんでした。二日目における日本選手団トップバッターとして、間違いなく仲間たちを勢いづけ、「フレスコボールは、二人ではなく、仲間全員でやるものだ」ということを教えてもらいました。誰よりも長く組んできた二人に、心よりリスペクトです。

 

■〈ミックス優勝〉岸田直也&宮山有紀ペア

国内ランキング2位として、ブラジル選手権への挑戦権を掴んだ岸田&宮山ペア。互いに「男子部門」「女子部門」での出場もあり、試合感覚を研ぎ澄ますことができる一方で、疲労も蓄積するという両側面を兼ね備えた難しい戦いになりました。事前の調整期間においても、各部門の練習を両立させる必要があるため、ミックス部門にかけられる時間は限定的。しかし、その中でしっかりと結果を残すことができるのがこのペアの本当の強さです。初日は、持ち前の確実かつ強烈なアタックでビッグラリーを連発し、20,613点の2位通過。二日目は、のびやかなラリーを繰り広げ、ディフェンスで50km/hを超える局面も。ラリー中も本人たちも手応えを感じている様子で、風が強く吹いて他ミックスペアが苦戦した中でも、20,028点の好結果。総合得点40,641点を叩き出し、堂々のミックス部門優勝の座を掴み取りました。ブラジルトップ選手からも一目置かれ、日本フレスコボール界の台頭を示してくれた二人。心から最大の拍手をお送りします。

 

■〈ミックス3位〉五十嵐恭雄&岡井花子ペア

日本国内の大会時から「ブラジルを体現する二人」としてエネルギッシュなラリーを繰り広げていた五十嵐&岡井ペア。互いに単身でブラジル修行に乗り込んだ経験があり、思い入れのある地における晴れ舞台となります。現地ルールに精通した五十嵐選手のリードのもと、調整期間では「勝てるラリー」に向けて確実に記録を伸長。迎えた大会初日、そのアタックの力強さからも、ディフェンスでも50km/hを超えるラリーを連発。19,103点という高記録を叩き出すも、その上に立ちはだかるのは、4組の強者たち。入賞争いは翌日にもつれ込むことに。前述の風味&宮山ペアの奮闘を受け、二日目の日本選手団に漂ったのは、どこか「吹っ切れた」清々しさ。五十嵐&岡井も、持ち味の「強烈なアタック」がさらに力強さを帯び、70km/h超のラリーも連発。20,218点というその日TOP2の成績を叩き出し、3位入賞。4位との差はわずか58点で、落球ひとつで順位が変動する、そんな展開でした。1球への執着がたぐり寄せた入賞。本当におめでとうございます。

また五十嵐選手は、調整期間において、現地ルールに適合するように日本選手団を戦略&精神面で終始リード。「キャプテン」というポジションがあるとすれば、それは間違いなく五十嵐選手だったことは、選手団の誰から見てもあきらかでした。彼の存在なくして、チームジャパンの活躍はなかったように思います。ありがとうございました。

 

■〈ミックス6位〉松浦孝宣&落合真彩ペア

直前の登録変更によって出場が決定した松浦&落合ペア。リクゼンタカタカップ2022では1,824点という年間TOP3に入る結果で優勝を飾るなど、日本屈指の高速ラリーを誇り、ブラジルでも好結果が期待できる二人の組み合わせとなりました。このペアは、「落合選手の正確無比なアタックを、松浦選手が50km/h以上のディフェンスで打ち返すことができること」が最大のストロングポイント。松浦選手は、コパカバーナでの調整期間に慣れ親しんだブルーマンからビオラにラケットを変更。最後の最後まで勝てる可能性を追求し、本番に挑みました。初日は、その持ち前の高速ラリーを発揮し、19,374点の好結果で予選3位につけます。二日目も、終始落ち着いた表情でビッグラリーを連発。18,027点を叩き出すも、初日の落合松浦ペアのラリーを見て、日本人ペアに負けじと、ブラジル人ペアも猛追。最終結果は6位となりましたが、日本の高速ラリーで勝てる可能性を十分に示してくれた二人でした。国内で再び二人のラリーを見られる日を楽しみにしています。

〈トピック〉

このほか、三人で出場する「トリンカ」部門に、男子から『五十嵐&岸田&松浦』チームが出場し、見事準優勝。女子から『青木&山口&大和地』チームが出場し、4位の結果となりました。ブラジルのスピードガンルールを用いながら、試合時間が6分に変更。各人2分ずつの持ち時間で、立ち位置を替わりながら打ち込んでいくという大変ユニークなカテゴリでした。どこか「オールスター」のようなお祭りのような雰囲気もあり、いつか日本でもやってみたい!と個人的に思いました。入賞、おめでとうございます。

参考に、五十嵐選手のYouTube動画をご紹介します。

以上が、フレスコボールブラジル選手権2023〈CIRCUIT LAGOS|IGUABA GRANDE〉のレポートでした。

1945年に、ここブラジルの地で始まったフレスコボールの歴史。それを肌で感じることができ、非常に有意義な日々でした。

一方で、コパカバーナではフレスコボールよりもビーチテニスの普及が台頭してきているという現地の方々の話も。

私や皆さんが愛するフレスコボールを世界で普及していくためにも、どこかの国の誰かを待つのではなく、われわれ日本フレスコボール協会がリーダーシップを持って、国内ひいては世界に普及を進めていきたいと誓った遠征でもありました。

日本フレスコボール協会も設立から10周年。フレスコボールLOVERSの皆さんと、次なる10年に向けて、手を取り合って進んでいけると幸いです。

「FRESCOBALL JAPAN TOUR 2023」も、第二戦目前!皆さんとお会いできることを、スタッフ一同楽しみにしております。

 

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一般社団法人日本フレスコボール協会
電話番号:03-6304-3295
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